子育てがしんどい本当の理由は「あなたの弱さ」ではない

子育てがしんどい本当の理由は「あなたの弱さ」ではない 子育てコラム

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寝かしつけのあと、暗い部屋でひとり「私だけできてない」と感じていませんか

やっと子どもが寝てくれた夜9時。散らかったリビングを横目に、洗い物がそのまま残ったキッチンが見えます。体は鉛みたいに重いのに、頭の中だけがぐるぐる回って、「今日も子どもに怒っちゃったな」「他のママはちゃんとできてるのに」と考えてしまう。

SNSを開けば、手作りのかわいいお弁当や、きれいに片づいた部屋の写真が流れてきます。それを見て、ずーんと気持ちが沈む。「私は母親に向いてないのかもしれない」とまで思ってしまう夜もあるかもしれません。

先にお伝えしたいことがあります。子育てがしんどいのは、あなたの努力が足りないからでも、心が弱いからでもありません。今の子育てには、しんどくなる「構造的な理由」がはっきりと存在します。この記事では、その理由を1つずつほどいていきます。

理由1:昔は10人でやっていた子育てを、今は1〜2人でやっている

子どもと向き合う母親

たとえば、こんな朝を思い出してみてください。朝7時、下の子のおでこを触ったら明らかに熱い。体温計は38度。今日は保育園に預けられません。夫に聞くと「ごめん、今日は外せない会議があって」。実家は新幹線の距離。スマホの連絡先を上から下までスクロールしても、「半日だけ見ててもらえる?」と気軽に頼める人がひとりも見つからない。結局、パート先に謝りの電話を入れるのは自分です。

こういう朝が当たり前になっているのは、あなたの人付き合いが下手だからではありません。「親だけで子どもを育てる」という形そのものが、歴史的に見るとかなり新しいのです。

ひと昔前まで、子育ては祖父母や親戚、近所の人など、たくさんの大人が関わるのが普通でした。赤ちゃんを少し見ていてもらう、夕飯のおすそ分けをもらう、上の子を近所で遊ばせてもらう。そういう「ちょっとした助け」が、暮らしの中に自然に組み込まれていたのです。

ところが今は、核家族が中心です。実家は遠方、近所付き合いはほとんどなし、夫は残業で帰りが遅い。つまり、かつて10人がかりでやっていた仕事を、ママ1人(よくて2人)で回しているのが現代の子育てです。

10人分の仕事を1人でやれば、しんどいのは当たり前です。これは「能力の問題」ではなく、単純に「人手の問題」です。あなたが弱いのではなく、頼り先が物理的に少なすぎるのです。

理由2:子育ては「休憩時間ゼロの24時間勤務」だから

もうひとつの大きな理由は、子育てという仕事の特殊さです。

ある1日を切り取ってみます。やっと自分のお昼を食べようとした瞬間に「ママ、うんち出た」。おむつを替えてレンジで温め直したごはんは、もう半分冷めています。トイレに入れば、ドアの向こうから「ママー!」と泣き声。夜中の2時に夜泣きで起こされ、抱っこで部屋を行ったり来たりして、朝5時半にはまた次の1日が始まる。温かいお茶を1杯、座って最後まで飲み切る。それだけのことが、もう何日もできていないかもしれません。

普通の仕事には、昼休みがあります。退勤時間があります。週末には休みがあります。ところが子育てには、そのどれもありません。「勤務終了」のチャイムが、永遠に鳴らない仕事なのです。

人間の体と心は、休憩なしで動き続けるようにはできていません。どんなに体力がある人でも、休みなく稼働すれば必ず消耗します。「ちょっと座っただけで涙が出そうになる」のは、心が弱いサインではなく、休息が足りていないという体からの当然のサインです。

理由3:頑張っても「できて当たり前」で、成果が見えない

子育てには、もうひとつしんどさを増やす特徴があります。それは「成果が見えない労働」だということです。

30分かけて栄養を考えて作った夕飯を、1歳の息子が一口も食べずに床へぽいっと落とす。やっとの思いで畳み終えた洗濯物の山に、4歳の娘が「えいっ」とダイブして崩す。さっき拭いたテーブルに、もう麦茶がこぼれている。こんな場面、毎日のようにありませんか。

仕事なら、売上やお客さんからの「ありがとう」など、頑張りが目に見える形で返ってきます。でも子育てはどうでしょう。子どもが元気に1日を過ごせても、誰も褒めてくれません。事故なく、けがなく、ちゃんとごはんを食べさせて寝かせた。それは本当はすごいことなのに、「できて当たり前」として扱われます。

やってもやっても「ゼロに戻る」作業を、評価されないまま続ける。これは心理的にとても消耗する状態です。達成感という栄養がもらえないまま走り続けているのですから、心がすり減るのは自然なことなのです。

30年前のママと今のママでは、子育ての「条件」がまるで違う

ここまでの3つの理由をまとめると、見えてくることがあります。それは、昔と今とでは子育ての環境そのものが大きく変わっている、ということです。

30年前は、近所のおばちゃんが「あら、大きくなったわね」と声をかけてくれて、子どもは近所の子ども同士で勝手に遊んでいました。専業主婦の家庭が多く、社会の仕組みも「家にお母さんがいる前提」で作られていました。

今は共働きが主流です。ママは仕事もしています。それなのに、「夕飯は手作り」「部屋はきれいに」「子どもには丁寧に向き合う」という家事育児の基準は、昔のまま。むしろ食育や知育といった言葉が増えて、要求水準は上がっているくらいです。

さらに、比べる相手も変わりました。昔のママが比べる相手は、せいぜいご近所さんでした。今は、SNSを開けば全国の「キラキラした瞬間だけを切り取ったママ」と、毎晩寝る前に比べてしまいます。

使える人手は減り、求められる水準は上がり、比較の対象は日本中に広がった。条件がここまで違うのに、「お母さんならできて当たり前」という言葉だけが昔のまま残っているのです。この土俵で自分を責めるのは、もうやめていいと思いませんか。

自分を責める前に、できることを3つだけ

しんどさの正体が「構造」だとわかったら、次は少しでも負担を減らす工夫です。よく言われる方法ですが、誠実にお伝えします。

1つめは、夫婦での分担の見直しです。「言わなくても察してほしい」は残念ながら通じにくいので、家事と育児を紙に書き出して、目に見える形で共有するのがおすすめです。書き出してみると、ママの担当の多さに夫が驚く、ということもよくあります。

2つめは、自治体のサービスを調べることです。一時保育、ファミリー・サポート・センター、子育て支援センターなど、住んでいる地域には意外と使える仕組みがあります。「うちの市区町村名+一時保育」で検索してみてください。

3つめは、家事の基準を下げることです。夕飯は冷凍餃子でいい、洗濯物はたたまずカゴから取る方式でいい。「ちゃんと」の基準を下げることは、手抜きではなく作戦です。

なお、涙が止まらない、眠れない、食欲がないなど、つらさが深刻な場合は、ひとりで抱えずにかかりつけ医や自治体の相談窓口に相談してください。

それでも回らないなら、「頼る先を増やす」という選択肢があります

分担も、一時保育も、手抜きもやってみた。それでも回らない。そういうとき、残っている選択肢は「家庭の外に、頼れる大人を増やすこと」です。

ここまで読んで、「人に頼るなんて申し訳ない」「母親なのに」と感じた方もいるかもしれません。その気持ちこそが、実は一番大きなハードルです。頼ることへの抵抗感については、こちらの記事で詳しく書いています。

関連記事: 「人に頼るのが苦手」なママこそ家事代行が向いている理由

具体的なサービスとしては、たとえばきらりライフサポートのように、同じ人が継続して家に来てくれて、料理や掃除と子どものお世話を1回の訪問で組み合わせられるサービスもあります。「実家が遠くて頼れない」というママの、いわば近くの頼り先になってくれる仕組みです。

関連記事: きらりライフサポートの口コミ・評判を徹底調査|料金と申込前の注意点

今夜できる小さな一歩は、「自分を責める言葉を1つやめる」こと

子育てがしんどい本当の理由は、頼り先が少なく、休憩がなく、成果が見えないという「構造」にありました。そして、その構造は昔よりずっと厳しくなっています。あなたの弱さのせいではありません。

だから今夜、寝かしつけのあとに「私だけできてない」という言葉が浮かんできたら、「10人分を1人でやってるんだから、しんどくて当然」と言い換えてみてください。それだけで、ほんの少し、肩の力がほっと抜けるはずです。

構造の問題は、構造で解決できます。気合を増やすのではなく、頼り先を増やす。その視点を、今日からひとつ持って帰ってもらえたらうれしいです。

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